洗米
十キロずつ、秒単位で水を切ります。米が吸う水の量が、その後の三十日をすべて決めるからです。
11月上旬〜
但馬の山あいで、六代。
KUON — SUGIMORI BREWERY, TAJIMA HYOGO
慶応二年から、兵庫県但馬の谷あいで酒を醸してきました。
造るのは純米酒のみ。年間三百石を上限とし、それ以上はつくりません。
酒は、土地の水と米が、
その年の気候に沿って、
ただ姿を変えたものである。
杉森酒造には、看板になるような技術がありません。仕込みの温度を一度単位で管理する設備も、有名な杜氏もいない。あるのは、蔵の裏を流れる伏流水と、蔵から車で十五分の田で穫れる米と、それを毎年同じ手順で仕込んできた百六十年分の記録だけです。
だから私たちは、酒の味を「設計」しません。その年の米がどう溶けるかを見て、あとから手を添えるだけ。出来上がったものが、その年の但馬の姿だと考えています。
六代目蔵元 杉森 佐一郎

仕込み水は、蔵の上流約三百メートルにある岩肌から湧いています。硬度は28。いわゆる超軟水です。
軟水は発酵がゆっくり進みます。麹の働きが損なわれず、米の糖化と酵母の働きがゆるやかに噛み合っていく。荒々しさは出ませんが、そのぶん輪郭のやわらかい酒になります。
この水は、洗米・仕込み・割水だけでなく、道具を洗う際にも使っています。年4回の水質検査を続けています。六代にわたり、水質はほぼ変わっていません。

使う米は、五軒の農家から。
すべての田を、蔵人が見に行きます。
山田錦、雄町、そして但馬在来種「白菊」。品種よりも、その年の登熟具合を見て仕込みの配分を決めます。等級検査の数字だけでは、米がどう溶けるかは分かりません。
収穫のあと、蔵人が全量を手で確認し、粒の張りが弱い年は精米歩合を二〜三ポイント下げます。毎年同じ数字にしないことが、毎年同じ味に近づけるための唯一の方法だと考えています。

十一月から三月まで。六つの手が順に重なります。
十キロずつ、秒単位で水を切ります。米が吸う水の量が、その後の三十日をすべて決めるからです。
11月上旬〜三十六時間、麹室にこもります。二時間おきに手を入れ、温度は体温で確かめます。数値は後から記録するだけです。
36時間生酛造り。乳酸を添加せず、蔵付きの菌の働きに委ねます。仕上がるまで約四週間。
28日三段仕込み。品温は最高でも十二度。低温で三十日以上かけて、泡の立ち方を見ながら櫂を入れます。
30〜35日木槽で自重を利用して搾ります。圧をかけないため歩留まりは落ちますが、雑味が出ません。
2〜3日蔵の地下にある、年間を通じて十二度前後の石室で寝かせます。若い酒は半年、貴醸酒は十年。急がせません。
6ヶ月〜10年
石室の貯蔵庫。ここから先は、時間だけが仕事をします。
五種のみ。品名を選ぶと、仕込みの記録が開きます。
※ 蔵元直売と、全国24軒の特約店でのみ取り扱っております。

うまい酒を
つくろうとは
思っていません。
今年の米に、
嘘をつかない
だけです。
杜氏 河野 春樹 / 但馬杜氏・造り歴三十二年
河野がこの蔵に入ったのは、十九歳のとき。以来、三十二回の造りを重ねました。「毎年違う酒になる」と言われることを、この蔵では欠点だと考えていません。
蔵人は七名。全員が但馬に住み、冬のあいだだけ蔵に泊まり込みます。夜中の二時に麹室へ入るのも、朝六時に櫂を入れるのも、交代制ではなく同じ蔵人が受け持つ。誰が触ったかを、酒が覚えているからです。
造りの季節である十一月から三月の間のみ、1日1組・6名までご案内しています。
| 見学期間 | 11月中旬 — 3月下旬(造りの期間のみ) |
|---|---|
| 時間 | 10:00 — 11:30 / 14:00 — 15:30 |
| 定員 | 1日1組・6名まで(要予約) |
| 参加費 | 3,300円(利き酒5種・お土産付き) |
| 所要時間 | 約90分(麹室・仕込蔵・石室貯蔵庫) |
| ご注意 | 当日に納豆やヨーグルトを召し上がった方は、ご入蔵いただけません。 |
直近の空き状況
空きあり 満席 休蔵日
